Cardano財団は9月30日、ブラジルの石油会社ペトロブラスとの研究開発で、再生燃料向けのアプリ2本を納品したと発表した。航空燃料のアプリには、旅行者の移動と環境価値の証明を結びつける仕組みもある。旅行の環境配慮を選ぶとき、証明のどこを読めばよいかを考える材料になる。財団の発表
航空燃料と、その環境価値を分けて記録
今回の対象の一つは、持続可能な航空燃料を意味するSAFだ。アプリは、燃料の使用による環境価値を、燃料そのものの流れと切り離して割り当てる「Book-and-Claim」という方式を使う。
たとえば、SAFがある空港で使われても、その環境価値を別の場所の旅行や企業に割り当てられる。旅行者にとって、証明が示す環境価値の割り当てと、自分が乗った機体に実際に入った燃料は、区別して読む必要がある。
燃料の供給場所に縛られずに参加できる仕組みを成立させるには、元の証明から割り当て先まで、記録がつながっていなければならない。IATA、国際航空運送協会の算定方法も、給油した場所にかかわらない環境価値の計算と、二重計上の防止を重視している。
旅行者の証明を、元の燃料証明までつなぐ
財団の説明では、旅行者が出発・到着空港を入力すると、その旅程に対応する環境価値を計算し、経路や距離、割り当てを記した証明を受け取る設計になっている。
ここで使う「CS-SAF」は、SAFの環境属性を表すデジタルトークンだ。財団の事例紹介では、燃料証明の確認、デジタル化、割り当て、使用済みの処理という順序が示されている。使った環境価値をアプリ内で再利用できない形で記録することが、重複した主張を防ぐ要になる。
読者に渡される証明から、どの燃料証明に基づく割り当てかをたどれること。そのつながりがあれば、環境配慮という表示を、確認できる情報として読める。
台帳の前に、燃料証明の確認がある
ブロックチェーンは、複数の関係者が記録の履歴を確かめるための共有台帳として使われる。ただ、記録する前の情報をどう確かめるかも欠かせない。財団の事例では、元のSAF証明を関連する基準に照らして確認してから、デジタルの記録にする流れになっている。
そのため、証明を読むときには、発行した主体、対象となる燃料と量、環境価値の計算方法も判断材料になる。記録の技術と、記録される情報の根拠を一緒に見る視点だ。
同時に納品されたもう一つのアプリは、再生燃料「Diesel R」の製造・輸送・使用の履歴をつなぐものだ。こちらも、製品に付いてくる環境の説明を、根拠のある記録へ近づける試みと捉えられる。
利用案内が出たら、証明と費用を並べて読む
今回の発表は研究開発の成果を示している。一般の旅行者向けの開始日、利用料金、対応する航空会社は、発表に示されていない。利用を考えるには、それらの条件を説明した案内が必要になる。
次にCardano財団のSAF事例ページやペトロブラスの公式ニュースが更新されたとき、旅行者向けの利用案内と、証明の確認方法が示されるかが一つの確認点になる。案内が出たら、次の三つを並べて読みたい。
- 元の燃料証明を誰が、どの基準で確認しているか。
- 自分に割り当てられる環境価値の量と範囲を、どう説明しているか。
- 利用にかかる費用と、使用済みの価値を重複して使わせない仕組みが分かるか。
次に旅行の環境証明を目にしたとき、あなたはどこまで確かめられる説明があれば納得できるだろうか。
ことば
- SAF — 持続可能な航空燃料。今回のアプリで扱う環境価値の元になる燃料で、証明を読むときには、燃料の使用と価値の割り当てを分けて見ることが役立つ。
- Book-and-Claim — 燃料の物理的な流れと環境価値の割り当てを分ける方式。離れた場所の利用者も参加できる一方、元の証明と割り当て先をつなぐ記録が必要になる。
- CS-SAF — 今回の研究開発で、SAFの環境属性を表すデジタルの記録。元の証明から割り当て、使用済みの処理までを追えるようにするために使う。