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IEAが数えた「新車の1割がEV」の国は100か国超の3分の1——日本が3%に留まる理由は、車ではなく駐車場にある

IEA の年次報告によれば、EV が新車の1割以上を占める国は、販売が伸びた100か国あまりの3分の1に達した。日本は3%未満のまま。差を作っているのは車の性能ではなく、夜どこに車を停めているかという条件だ。

IEAが数えた「新車の1割がEV」の国は100か国超の3分の1——日本が3%に留まる理由は、車ではなく駐車場にあるのイメージ

この記事でわかること

  • IEA によれば、2025年に電気自動車の販売が伸びた100か国超のうち3分の1で、EV が新車販売の1割以上を占めた
  • 日本は3%未満。IEA はハイブリッド中心の設計に加え、集合住宅の多さと充電インフラの制約を理由に挙げている
  • 個人向けに車から電力を戻す商用サービスは2025年に始まったばかりで、対応車種・規制・標準はまだ揃っていない

2025年に世界で売れた新車の4台に1台は電気自動車だった。IEA の年次報告 Global EV Outlook 2026 はそう書いている。しかもこれは一部の先進国だけの話ではなくなった。電気自動車の販売が伸びた100か国あまりのうち、3分の1で EV が新車販売の1割以上を占めている。ただ、この数字を「世界がもうそちらへ行った」と読むと、自分の位置を見誤る。日本の EV 比率は3%に満たない。そしてその差を作っているのは、車の性能ではなく、車を停める場所のほうだ。

どこまでが「1割超え」なのか

語の範囲を先に確かめておきたい。IEA が書いているのは「2025年に電気自動車の販売が伸びた国は100か国を超え、そのうち3分の1で EV が新車販売の1割以上を占めた」ということだ。母数は世界のすべての国ではなく、販売が伸びた国のほうにある。IEA 自身は公式アカウントで、この範囲を「およそ40か国」と要約している。

内訳を見ると、伸びたのは早くから補助金を積んだ国だけではない。ベトナムは新車の約4割が電気自動車になり、タイは4分の1近く、インドネシアは15%。東南アジア全体で年間販売が倍増した。効いているのは価格だ。IEA は、中国を除く新興国で売れた電気自動車の6割が中国からの輸入だとしている。

逆向きの動きもある。米国は通年で1割前後にとどまり、税額控除が終わった第4四半期の販売は前年同期比で45%減った。カナダは補助制度の終了で前年比3割超の減少だ。制度が変われば数字はその年のうちに動く。

日本が3%に留まっている理由

日本の電気自動車比率は2025年も3%未満で、販売台数は10万台強と前年並みだった。IEA はその背景として2つを挙げている。ひとつは、日本の自動車メーカーが燃費規制への対応をハイブリッドを軸に組み立ててきたこと。実際、ハイブリッド車は日本の新車販売の3分の1ほどを占める。

もうひとつが、生活の側の条件だ。IEA は、専用の駐車スペースを持ちにくい集合住宅に住む人の割合が高いことと、充電インフラの制約が販売を鈍らせている、と書いている。

これは車の話ではない。どこに住んでいるか、夜どこに車を置いているか、その場所まで電源を引けるか、という話だ。買うかどうかの判断は、たいてい車のカタログではなく駐車場の契約のほうで決まっている。裏を返せば、車が安くなっても、この条件が動かない限り数字は動きにくい。

車を「家の蓄電池」として見たとき

電気自動車を移動手段としてだけ見ると、比較の相手はガソリン車になる。だが車載電池を家につなぐ側から見ると、比較の相手は据置型の蓄電池に変わる。停電した夜に冷蔵庫と照明を動かすのはどちらか、という問いになる。

この読み替えは、まだ実装が追いついていない。IEA によれば、個人の電気自動車オーナー向けに車から電力を戻す商用サービスが最初に登場したのは2025年だ。ただし同じ報告は、対応する車種がまだ少なく、規制の枠組みは国ごとにばらばらで、標準も定まっていないと続けている。始まったばかり、という以上のことはまだ言えない。

日本では、経済産業省が令和7年度補正予算に「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」として510億円を計上し、そのうち V2H 充放電設備・外部給電器の導入補助について2026年6月12日に概要を公表した。ただし同省のページには、補助要件の詳細は執行団体からの案内を待つように、と明記されている。制度の輪郭は出たが、細部はまだ確定していない。

つまり、今日の時点で決められることは多くない。決められるのは順番のほうだ。車から家へ電気を戻すには充放電設備が要り、それには電気自動車が要り、車を置くには電源を引ける駐車場が要る。詰まるときは、たいてい一番下から詰まる。

自分の側の条件を、先に数える

だから最初に確かめるのは車種ではなく、自分の側の条件だ。夜、車はどこに停まっているか。そこは自分の裁量で工事ができる場所か、それとも大家や管理組合の判断が要る場所か。契約している電力の容量は足りるか。停電のときに動かしたいものは、実際には何ワットなのか。

これらは調べれば分かることばかりで、しかも車を買う前に分かる。分かった結果「うちは今は無理だ」となることもある。それは失敗ではなく、判断が一つ済んだということだ。逆に、条件が揃っているのに気づいていない家もある。

世界の3分の1の国で1割を超えた、という数字は、日本の自分の家に何かを指示するものではない。ただ、前提が変わったことは教えてくれる。電気を買うだけのものにしておくのか、貯めて必要なときに家へ戻すものに変えるのか。あなたの家の条件では、その入口はどこにあるだろうか?

参照

あなたの暮らしで、最初に試せることは何でしょうか。